私に起きたLGBT《セクシャルマイノリティ》問題 続編②

私に起きたLGBT《セクシャルマイノリティ》問題 続編②

ふとした事で、長男がゲイかもしれない。

ゲイ・バーで働いている。

多分バイ・セクシャルかもしれない。

と知ってから、同年代の男の子を見る度に、心臓がキューっとなった。

若い子供連れの夫婦を見ると、サッと目線を外す。

孫を連れたおばあちゃんを見ても、胸が締め付けられた。

行く事の無いかもしれない長男の結婚式、見ることの無いかもしれないお嫁さん。

抱くことが出来ないかもしれない孫。



近くに居ないから、思い出さないようにしても、そんな人を見る度に、直接的に長男を思い出さなくても間接的に思い出しては胸が苦しくなった。

そのころから、唇にヘルペスが出来始めた。

上唇に出来、1週間ほどして治り、また出来る。

それを2ヶ月で 4回繰り返した。

どんだけメンタル弱いん…。

でも、息子がゲイかもしれないということは、それくらいショックだったのだ。

それはもう、息子が結婚しない、孫を抱けない、そういうレベルの解決策の見つからない原因では無くもっと浅いもので、それは、自分の育てかたが悪かったんだ、そもそも私みたいな人間が子供を持ったらダメだったんだ。 だから、息子がゲイに…。という自己嫌悪から来るものだった。



どうして普通に…どうして 普通の…と、普通の恋愛をして、普通の事が出来ないのか。

ヘルペスが出来る度に、そのヘルペスを見る度に、自分を責めた。

私の親友が、東京に行った時、今から行くよと連絡があった。

口から心臓が出るんじゃない?くらいドキドキした。

まだ、認めたくない自分が居た。どんなんなってるんだろう。

もうちょっと混乱していて、女の子みたいになってたらどうしよう、女装していたらどうしよう、なんて的はずれな心配をしていた。

その親友に対しても、そんな息子を見られるのも恥ずかしいなと思った。

しばらくしたら、親友では無く長男から連絡があった。

「○○さん来てくれてる」と、嬉しそうな連絡だった。おやっと思った。

ゲイ・バーに、知り合いが来て、それを私に話すということは、ゲイ・バーで働いていることが、私にバレるじゃん。バレてもいいの?ちょっと動揺。

そっかー良かったね、みたいな返事をしたと思う。

そして親友から、長男の写真が送られてきた。

ほとんど変わらない姿。

全然変わらない笑顔。

会話が、標準語になってる以外はほとんど変わってないらしいと連絡があった。



親友は さらっと、「そっちなん?」と聞いたらしい。

長男は、「うんそうだよ」と答えた。

「お母さんは知ってるの?」と聞いたら、

「えーどーかなー多分知らないと思う」

「お母さん元気にしてる?」と笑顔で言っていたらしい。

もし、パートナーが出来て、実家に連れて帰ってくるとしたらどっち?と聞いたら多分男の子だと、言ったらしい。

ほんとに普通の会話のノリで 話したらしい。

なんだろう…それを聞いたら、ふと…コチコチに固まっていた心が柔らかくなっていくのを感じた。

「あー 長男は そうであったとしても、自分は間違ってないと思っているんだ」

「そして お母さんに知られても、なんともないと思ってるんだ」

「全力で、私のことを信用してるんだ…きっとお母さんならわかってくれるんじゃね?くらいの勢いで」

なんの裏も表もない会話で、その中でも、母親を気遣うその優しい心。全然 変わっていなかった。

変わったのは私。



産まれる時に、【五体満足であればそれでいい】と思ったことを。

わんぱくでいい元気に育ってくれればと願ったことを。

保育園に迎えに行った時、笑顔で駆け寄ってくる息子を見て 「この笑顔を絶対守り続けたい」と誓ったことを。

ゲイ・バーで働く長男は、とても生き生きしていたらしい。

田舎では、自分らしく生きていけなかったのだろう。

そのころは誰にも言えず、悶々としていたのだろう。

東京に行けば、色んな人が居る、オープンでいれるし、そんな仲間もいっぱい居る。

だから、一生懸命、寝る間を惜しんでお金を貯めて、上京したかったんだ…。

久しぶりに見たスマホの中の変わらない笑顔と、長男の自分を信じている姿に、自分が情けなくて情けなくて、申し訳なさに潰れてしまいそうだった。

少しでも長男の選んだ道を恥ずかしいと思ったこと。

近所に知られたら恥ずかしいと思ったこと。

ゲイなら もうこっちに帰ってきて欲しくないと思ったこと。

恥ずべきは私で、長男では無かった。

【私に起きたLGBT問題上京編】はこちら

【私に起きたLGBT問題続編】はこちら